□1日目
いよいよパイネサーキットに挑戦する日が来た。
イースター島からの移動で体調を崩し、治りかけではあるが思ったより酷くないし、気持ちはすでにパイネに向かっている。出発に迷いはなかった。
起きてトイレに行くと、窓から見える遠くの山々が朝日で真っ赤に染まってる。毎日こんな風景が見れたらいいなと思いつつ、急いで朝ごはんを食べ、朝7時半のバスに乗り込む。
プエルトナタレスからパイネ国立公園まで約2時間。時々姿を現すパイネにドキドキ。
サーキットのスタート地点であるLaguna Amargaに着くとすでに沢山のバスに人。ここで入園Feeを払い、いよいよ11日間の長旅が始まった。パイネとチコにそれぞれ「お願いします」と一礼して歩き始めた。
始めは砂利道を歩き、「Lake Dickson」と書かれた看板の所で右折。暫くはトーレスを左に眺めながらのウォーキング。これだけでも贅沢な気分になってしまう。
また10日後に戻って来るからね!
とトーレスに別れのあいさつをして先に進む。初日はずっと平坦。花が一面に咲いて気持ちがいい。風もなく穏やか。日差しがあると暑いくらいだ。
ただ荷物がやたらと重い。持った瞬間はなんとかなるかなーって思ってたけど、時間が経つにつれどんどん肩にめり込んでくる。ザックはキャンプ必需品と11日分+αの食糧でパンパン。辛いけど歩くしかない。自分で決めた道だ。
やっとの思いでテント場に到着。残りの日数歩けるか不安になった。すでに多くの人がテントを設置していて、サーキットも思った以上に人気があることを思い知った。彼らは多分これから数日は一緒の目的地を目指すトレッカーだ。
初日の夕食はチキンのトマト煮込みスープ。腐る心配のない初日だけ肉を持ってきて食べるのが最高にうまい!
バスでパイネに向かう。いよいよ見えてきた!
トーレスを見ながら左手に歩く。昔、森を焼いた後が今も残っている。
一面の花畑
□2日目
今日は19km歩くのでちょっと早めに起きて準備。天気はくもり、なんだか良くはない感じ。
Laguna Alejandraの脇を通って小さな峠を越える。ここは強風ポイントみたいだけど、今日もまだパタゴニアの風は吹いていない。ただ雨が降り出してきた。登りで合羽を着るのはなんとか避けたい。なぜなら中がサウナ状態になって結局濡れてしまうからだ。小雨のうちに乗り切るとLago Dicksonに続く谷が見渡せるようになる。
ここがパイネの裏側か〜
なんて言いながら先を目指す。Lago Dicksonの周りにはいくつか氷河を抱えている山があり、曇りながらも堂々とした存在感をみせている。お昼を食べる頃には雨が降り出し、ちょっとした木の陰に隠れてランチタイム。止まった途端に体が冷えていく。まだ半分しか歩いていないのにこの疲れ・・・。外国人トレッカーはその横を歌を歌いながら過ぎ去っていく。余裕たっぷりだ。
後半戦はずっと雨の中だった。しかも終盤に超沼地地帯が・・・。不覚にも2日目にして靴の中を濡らしてしまった。
キャンプ場にはバテバテで到着。少しでも雨と風を避けれるように木の下にテントを張った。ロケーションは山々と湖に囲まれ最高の立地。夜になるとパタゴニアの風が吹き始めた。凄い轟音と共にテントを揺らす。
Lago Paineから今日の道のりを眺める。天気はいまいち・・・
キャンプ場目前。贅沢な場所にあるなー。
□3日目
3日目は9kmだから余裕だね。なんて思ってたけど甘かった。前日の雨で道はぐちょぐちょ。雨も雪に変わり、風も加わって体感温度が低く感じる。
ちょうど見晴らしのいいところでランチをするも、10分もしないうちに天候悪化。パタゴニアの風に吹かれ退散。なかなかゆっくり食べれない。休憩も体が冷え切る前に切り上げなくてはいけないから、なかなかシンドイ。
森を抜けてキャンプ場までは冷たい強風を正面から受けて、体を傾けながら前進。予定タイムも倍以上使うノロノロ歩行。Perros氷河は見事だったけど、風が強すぎてそれどころじゃなかった。まずは先に進まなくては!と最後の気合いを入れた。今日はチコもぐったりの様子。すぐ横のテントからは陽気な歌声が深夜まで続く・・・。
しかも夜はゲキ寒かった。寒さで目を覚ます。疲れているのに熟睡できなかった。風に当たりすぎたからだろうか、この日からチコは体調を崩した。二人とも鼻をすすりながらトレッキングを続けることになる。
ランチはこの景色と共に
滝の音に癒される
夕方になって晴れ間。見た目も印象もずっと良くなります。
Perros氷河。あまりの強風にゆっくり見てられません。
□4日目
サーキット最高度の峠を越える。今まで歩いてきた方角は天気だが、峠の方はどうも怪しい。今にも雨が降りそうだ。降るなら雪であって欲しいと思いつつ、寒さに震えながら出発。谷の両側の山々は大小の氷河を抱えていて貫禄がある。風はまだまだ弱いので快適に進む。
ある程度が高度が上がり、雪渓が現れ始めた頃、雨が降り出し、風が吹き始めた。小休憩をして一気に峠を越すことにした。
峠に着くと目の前にはGrey氷河がドドーンと横たわっていた。こんな大きさの氷河は初めてだ。本当に『大河』。デカイ!しかし生憎の天気。風が雨と共に吹き抜けるのでそのまま楽しむこともできず、すぐに下山にかかった。
今日のランチはどうしてもGrey氷河を見ながら食べたかった。雨風の中ではあるがランチをしてみたが、予想通りすぐに手が悴んで、寒気もしてきてとても楽しめない。外国人トレッカーもアメージングだけど食事は無理だよ〜って笑顔で話しかけていった。残念ながら10分ほどで切り上げる羽目に。楽しみの1つだけあって悔しかった。
ドロドロの下り道を滑るように進み、森に入って風からも守られるようになってやっと一安心できるようになった。終盤に日差しが少し差してきたので、Grey氷河の見えるところでランチ分まではしゃいだ。氷河は光を浴びると一層白くそして青く輝く。本当に美しい。
本日のキャンプ場Campament Pasoは無料。ちょっと小さめで飲料水は近くの沢から。汗もかいたのでサクッと洗濯もした。テントに入ると太陽熱で暖かい。やっと心安らぐ時間になった。
しかし夕食が終わる頃にはまた雨が・・・、しかも激しい。テントがみるみる泥だらけになっていく。
これからこの峠を越します。
峠近くに横たわる氷河。
峠を越すと目の前に広がるGrey氷河。どこまで続いているか分からないくらいデカイ。
荷物を降ろして休憩。日差しで輝くGrey氷河が眩しい。